2015年10月24日土曜日

串間保の即興劇

 
 
 
 
今日はカウンセリングはお休みだったので、
友人の版画家ウチダヨシエさんの個展を観に行った。
 
今日だけ夕方に串田保さんという役者さんを呼んで
展覧会場で即興劇をするというので、
面白そうなので、その時間めがけて会場に。
 
小さな展覧会場に15~16名ぐらいのお客さんが
そのパフォーマンス目当てに集まってきた。
 
ひとり増えふたり増えするお客さんに少し話しかけながら、
どうやら即興劇の間にだれをいじろうか、どういじろうか考えているらしい。
 
もっといえば、即興劇だから、家で練習してきたひとり芝居のネタを
その場にいる人を巻き込みながら、別の物語にしてしまうこともあるらしい。
 
にこやかに談笑していた串間保は
5時5分になると、急にタクトを振るようなしぐさをして、
深い呼吸で場の空気を一変させた。
 
そして、そこから生まれ故郷の宮崎県の山奥の村に私達観客をいざなうと、
森の木と美しい青い空だけはあるが、
他に何もない、お金もない、電気も通っていない村の物語がはじまった。
 
途中、木挽き歌ともう2曲、農作業をするときの民謡を朗々と歌い上げ、
人の幸福とはどこにあるのかという大きなテーマを内包するひとり芝居が
行われた。
 
観客として会場にいた人は皆、その突然のパフォーマンスに
半ばあっけにとられ、半ば珍しい空間にほうりこまれた居心地の悪い顔で
そこに座っているように見えた。
 
時々、串間保に質問されたり、話しかけられるものだから、
次は自分だったら嫌だなという苦手意識があるのかもしれない。
 
初対面の人にいきなり何かを尋ねられ、
気の利いたことがいえないかもしれないという不安、
狙いと違った返答をしやしないかという恐怖があるようで、
何か話しかけられそうになると、お客さんは串間保と目を合わさないようにしたり
うつむいたりする。
 
日本人はこうした場を盛り上げようとか、楽しもうという文化が
あまり発達していないなと感じた。
 
私のカウンセリングルームにくる方たちも
この手のことが苦手な人は多い。
 
対人恐怖とまでいかなくても、
初対面の人と上手にコミュニケーションを取るとか、
コミュニケーションを楽しむのは難しい。
 
そんなことを感じた即興劇のひとときでした。

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